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T 研究の構想

1 研究主題 

「自ら学び、心豊かでたくましく生きる実践力のある生徒の育成をめざして」

〜学ぶ意欲をもち、互いに高め合う学習集団の育成をとおして〜

2 主題設定の理由

現代は変化の激しい社会、情報が氾濫した社会であり、このような社会状況の中で自らの人生を切り拓いていける力(生きる力)の育成が求められている。
知の側面からは「確かな学力」の育成であり、基礎・基本をしっかり身につけさせるとともに学ぶ意欲を高め、思考力、判断力、表現力などを育んでいかねばならない。そして生涯にわたって主体的に学び問題を解決していく資質や態度を育てることが重要である。
しかし、様々な調査から全国的に自ら調べ判断する力、自分なりの考えを持ちそれを表現する力などについて必ずしも十分でない状況にあること、学ぶ習慣が十分身についていないことや学習に取り組む姿勢が二極化する傾向にあることなどが指摘されている。また、望ましい生活習慣と学力との間に相関があることも明らかになった。
学校教育現場では学習指導において知識、技能の習得に偏重していたり、日常の体験と教科の関連づけが明確でなかったりすることなどの課 題が指摘されている。 このような現状から、学校においては基礎的、基本的な学習内容の定着を図るとともに、生徒一人一人が主体的に考えを深め、判断し、表現できるような指導の工夫改善が必要である。また、学校外においても自らの力で学習を進めようとする態度づくりや技術の定着に向けて、家庭、地域との連携を図りながら取り組んでいかねばならない。

本校は、平成14年度に青山中学校と跡市中学校が統合して誕生しており、総合的な学習の時間を中心に生き方・学び方指導の充実に重点を置いて「主体的な学びをはぐくむ学習活動のあり方」を探ってきた。その結果、諸活動に明るく素直に取り組む生徒が多くなってきた。その一方で、全体的に基礎的な学力や学習に対する意欲・習慣、表現・技能の力等が不足していること、また、場や集団が生徒の学習意欲や態度に大きく影響していることなどが浮かび上がってきた。
そのような中、平成17年度に「確かな学力育成のための実践研究事業」の推進校の指定を受けたことを契機に改めて生徒の実態を把握し課題を明確にしていった。そして、各教科における「つけたい力・伸ばしたい力」(資料1参照)を設けて、全校体制で学力の向上に取り組んできた。
2年次までの取組の結果は、以下のとおりである。(「5 これまでの経緯」を参照)

○指導と評価の一体化を図り丁寧な繰り返し指導をしたことで、校内の様々なテストでは下位層が減少した。

○「つけたい力・伸ばしたい力」を育成するため読解力育成の視点からの授業改善を図ったことで学習活動が活発になり、生徒の学習意欲が向上した。しかし、質的、量的に十分な指導を行うことができず十分達成できたとは言えない状況である。

○相談活動を通して学習の仕方がわかったり、将来への見通しや目標を持つことができたりし以前に比べ学習への取組に向上が見られはじめてきた。

○学校から家庭への情報発信や保護者研修会等啓発の場を設けることで、子どもの生活や学習に対する関心が高まった。

○生徒一人一人の学習態度、学習技術については改善が図れたが、学び合うことの楽しさやよさを実感できるなど、集団として学びを高めることができなかった。

そこで、今年度は研究主題を「自ら学び、心豊かでたくましく生きる実践力のある生徒の育成をめざして〜学ぶ意欲をもち、互いに高め合う学習集団の育成をとおして〜」と設定し、読解力育成の視点からの授業改善、学習習慣づくり、集団としての学びを深めることに焦点をあてた研究実践をしていくこととした。

3 めざす生徒像

○基礎・基本を身につけ、生涯にわたってそれを生かしていこうとする生徒

○目標や意欲を持ち、主体的に学んでいこうとする生徒

○互いに認め合い、支え合い、競い合い、高め合う生徒

4 研究仮説

ア 基礎・基本の確実な定着に向けて、丁寧な繰り返し指導と思考力、判断力、表現力を育成する指導を重視すれば、一人一人に生きる力となる「確かな学力」を身につけさせることができるのではないか。
イ 自分の生き方やより良いあり方を考え、目標を明確にもたせ、また、学習に対する意欲を喚起すれば、学力の基盤となる学習習慣や生活習慣を充実させることができるのではないか。
ウ 豊かな人間関係をもち、互いに認め合い、支え合い、競い合い、高め合うとする学習集団であれば、意欲的・主体的に「確かな学力」を身につけ、伸ばしていくことができるのではないか。

5 これまでの経緯

本事業の江津地区推進校として校区の2つの小学校と本校が指定を受けた。3校間で児童生徒の実態を検討し、その改善に向けて次の3つの重点目標と発達段階に応じた具体目標を設けて研究実践に取り組んだ。(具体目標:中学校段階)(資料2参照)

重点目標 A基礎・基本を身につけ、資料を読み取り、利用・熟考していく力を伸ばす。
 
B学ぶ意欲を高め、主体的に学ぶ力を伸ばす。

 
C 学習環境を整え、個や集 団の学ぶ力を伸ばす。

 
具体目標 目的をもち、資料を理解・評価しながら読み取り、それに応じて書いたり発表したりすることができる。 意欲や目標を持ち、自主的・主体的に学習に取り組み、学んでいくことができる。
 
自らの生活を整えるとともに仲間と学び合い、高め合うことができる。
 

このことを踏まえ、本校では平成17年度より3つの研究仮説にしたがい研究を推進した。その具体的な手立てと評価は以下のとおりである。

仮説アについて

○夏休み、終礼時、放課後、授業のはじめ等 を利用した小テスト、補充的学習
→生徒の学習に対する姿勢が改善されるとともに基礎的、基本的内容の定着を図ることがで きた。また、校内のテストにおいては下位層が減少した。

○「学習意欲の向上」、「思考力・判断力・表現力の育成」に向けた読解力育成の視点から授業改善→テキストを明確にし、そこから取り出した情報を熟考、活用し、自らの考えを表現していくことで授業が活性化した。しかし、このような授業実践が少なかったり、思考を深めたり、表現したりする場面での工夫が不十分であったため、各教科における「つけたい力・ 伸ばしたい力」が十分達成できたとは言えない状況であった。

○学習評価指標の活用          
→生徒の自己評価を通して指導の改善に生かせたり、生徒が学習の目的を意識して取り組ん で行くことができたりした。しかし、生徒の自己評価への問いかけが分かりにくかったり、 指標をとる場面が少なかったりした。

仮説イについて

○学級活動や道徳の時間の充実
→AAIや教師の観察から学習の意欲、学習の計画、授業の受け方など学習態度、学習技術 についてはやや改善が見られたが、さらに指導していく必要がある。

○相談活動の充実
→相談活動に対する生徒の事後アンケートでは、「将来への見通しを持てるようになった」「勉強への意欲が高まった、勉強の仕方が分かった」などその効果が確かめられた。

○日記指導をとおした家庭学習時間調査等家庭学習の実態把握
→生徒の家庭学習の状況を把握することで、学級における指導に役立てることができた。また、家庭学習時間も少しずつではあるが増加した。

○通信、座談会等「確かな学力」の育成に関して、学校からの積極的な情報発信
→保護者に行ったアンケートでは、「子どもの学習や生活の実態について知ることができた」 「学習や生活について子どもと話をするきっかけになった」などその効果が確かめられた。

仮説ウについて

○人権集会等、各種行事をとおした集団づくり
→学習集団適応が改善するなど互いに認め合い、支え合える集団づくりが進みつつある。

○生徒同士が互いに教え合い、学び合う場の設定
→生徒一人一人の学習に対する姿勢は高まったが、集団思考場面で思考に深まりが見られな いなど、生徒同士が学び合うことの楽しさやよさを十分実感していないことが学習評価指 標や教師の見取りから明らかになった。生徒が他者を意識し自らの学習を深められるような手立てが求められる。

※NRT:全国標準診断的学力調査  AAI:学習適応性検査

5 研究組織と内容

(1)研究組織

校長−教頭−研究推進委員会・研究部−研究職員会
−【学力向上研究班】【学習指導研究班】【生徒育成研究班】【地域家庭研究班】

(2)研究内容(※:平成19年度の取組の重点)

@ 学力向上研究

○実態調査と分析のまとめ
○研究の方向性や方法の検討・修正への提案
○研究授業の公開や研究資料に関すること   

A 学習指導研究

○「つけたい力・伸ばしたい力」の見直し
○RVーPDCAサイクルの機能化と読解力の育成に視点をあてた授業改善(※)
・読解力育成の指導方法を用いる場の位置づけ
・年間計画における位置づけの見直し、推進計画の作成
・単元計画の見直し
○集団としての学びを深めていく授業の工夫改善(※)
・生徒の発言や活動をより一層生かした授業の展開
・生徒同士が教え合ったり、互いの学習を評価したりする場の工夫
・課題別グループ等小集団活動の工夫
○評価方法、評価計画の改善(※)
・学習評価指標の活用  ・教師の観察

B 生徒育成研究

○集団づくり
○学級活動や道徳の時間、相談活動の活性化等からの意識・意欲の向上への指導、将来への見通し(夢や目標の具体化)への指導
○学習習慣、生活習慣、学習環境向上への指導(※)
・学習に向かう力の育成

C 家庭・地域等との連携
・通信の発行、ホームページの作成
・公開ウィークや保護者等を対象とした講演・研修会の実施
・保護者、地域、推進地区校との連携

6 評価計画

仮説ア

数値で測れるもの
県学力調査、NRT標準化された調査の結果をもとに教科に係る学力や観点別の定着状況について見取っていく。

代替指数を用いて数値で表すもの
校内におけるテスト結果 指導内容、観点別の定着状況について見取っていく。
学習評価指標B・・・生徒の学習に対する意欲や取組状況についてその意識を把握する。
学習評価指標A・・・読解力育成の視点からの授業実践をした場合に生徒の教材や学習活動についてその意識を把握する。

その他
教師の観察 学習に対する意欲や取組について見取っていく。ワークシート、作品、レポート等、生徒の考えの深まりや表現する力について見取っていく。

仮説イ 

数値で測れるもの
県学力調査、AAI学習に対する意識や習慣等について経年比で生徒の変容を把握する。

代替指数を用いて数値で表すもの
生徒、保護者へのアンケート・・・学習習慣、生活習慣づくりに関する取組や啓発を行った場合に生徒、保護者の意識等を把握する。

その他
相談記録・・・学習、進路に対する考えや生活の様子について個別の生徒の変容を把握する。

仮説ウ

数値で測れるもの
県学力調査、AAI・・・学習集団や他者を意識した学習の状況について生徒の意識を把握する。

その他
学習評価指標C、生徒の感想、教師の観察・・・学習集団や学び合いについて生徒の意識を把握する。