学力調査、学力検査等から学習意欲の向上、思考力、判断力、表現力の育成が、本校の各教科に共通した課題として明らかになった。各教科において指導の重点化を図るために、課題を「つけたい力・伸ばしたい力」として明確にし、国から示された「読解力向上に関する指導資料〜PISA調査2003(読解力)結果の分析と指導改善の方向〜」(平成17年12月)(※資料3参照)を参考に、読解力育成の視点からの授業改善に取り組んできた。本校ではその学習過程を以下のように考え、授業や単元構想の改善を図った。なお、本集録や学習指導案の本時のねらいに記載してある記号は、「読解力向上に関する指導資料」の7つの指導のねらいを示している。
目的に応じたテキストからの情報の取り出し
〜見とり、読みとり、聞きとり、感じとり、興味、関心、意欲、目的意識、問題意識、課題設定
取り出した材料、情報を深め、見通しを持って課題を解決する
理解、整理、解釈、分析、考察、批判、評価、解決への計画
自分の考えを持ち、深め、それを表現する
友人との意見交換、経験、体験との関連づけ、再構成(工夫、創造、豊かな表現)
以下のように、3つの重点目標ごとに5つの観点からなる学習評価指標(※資料4参照)について、学習指導アドバイザーの平野俊英先生(島根大学教育学部准教授)より指導を受けた。この指標は、教師が生徒の学習の習得や育ちの状況について把握し、今後の指導改善に役立てるものである。また、生徒自身が学習の進め方、学び方について理解することや、自分の学習の状況を意識することを期待している。
| A:学習教材読解指標 | B:学習目標達成指標 | C:学習集団共同指標 |
| @ 学習の目的を意識する | E学習への興味・意欲 | J学習の構えづくり |
| A 見通しを持って読み取りを行う | F事実に即し筋道立てた説明 | K自他の考えの理解・尊重 |
| B 正確に読む方法・計画を考える | G必要な情報の収集と整理・まとめ | L集団での協同的活動ルール履行 |
| C 読んだ理解を記録・整理する | H考えがはっきりわかる表現しよう | M集団での学習相互支援 |
| D 記録から結論・理由を説明する | I学習による理解変化への意識 | N感想・喜び・楽しさの共有 |
生徒が自己評価を行う方法で以下のように実施しており、生徒の学習に対する意識の変容を見取っていった。
自己評価シートの内容
上記の表にしたがい、実際に生徒が記入する自己評価シートの内容は、本時または単元における具体的な活動等を想起できるような表現にする。また、必要に応じて、自己評価シートの内容に教師が説明をしながら記載させた。
○実施尺度 1:できなかった 2:できなかった方である 3:できていた方である 4:できていた
○実施場面
| A | 学習教材読解指標 | 読解力育成の視点から授業実践を行った授業や単元の終了後に教科ごとに実施した。 |
| B | 学習目標達成指標 | 学期や単元の終わりに各教科ごとに実施した。 |
| C | 学習集団共同指標 | 平成18年度は学期の終わりに各学級ごとに実施していたが、明確な指導後にタイムリーに評価できないことが課題として示された。今年度は授業をとおしての学習集団づくりを進める点から、生徒同士の学び合いを主なねらいとした授業や単元の終了後に実施した。 |
なお、本集録や学習指導案で示した学習評価指標の記号や番号は、資料で示したものと同じである。以下は各教科の実践である。
生徒の学習について、AAIや県学力調査、教師の観察から以下のような状況であった。
○学習の目的について、「大人になって役立つ。」、「希望する学校へ進みたい。」、「自己の能力を伸ばすことができる。」と前向きにとらえている生徒が多い。
○学校における学習については、どの学年においても「学校の勉強は楽しい。」、「授業は集中している。」と回答した生徒が多い。しかし「授業の受け方」や「自己統制」に課題の多い学年もあり、教師の指導が不十分であると課題等の忘れ物やチャイム着席など基本的な約束事が守れない生徒もいる。
○家庭での学習時間は1学期は特に少なく30分未満の生徒が多い。計画性に欠けるためテストの準備などが不十分である。
このような状況から、学習の意義を自分なりに理解し取り組もうとする意欲はあるが、学習に 向かう力が十分育っていないと思われる。そこで学校における学習環境を整えること、家庭にお ける学習習慣をつくること、そのために家庭との連携を図ることに重点を置いて取り組んだ。
授業における学習環境を高めるには、学習に関する基本的な事項を守ることや学習を高め合うことの大切さを生徒自身が意識することが重要と考え、全学年を対象に学級活動をとおして以 下のような指導を行った。この指導は10月から取り組んでおり、今後生徒アンケートや教師の見取りをとおして検証していく予定である。
1 題材名 授業態度を見直そう 2 本時のねらい 授業時間中の問題点やその原因を追求し解決策を考えることにより、学習規律を守り積極的に学習に取り組む態度を育てる。 3 主な学習活動 ○授業に関するアンケート結果を見ながら、学級における授業に関する問題点について考える。(資料:事前アンケート) |
(1) 実践
1学期の中間テストの際に、教科担当と学級担任が具体的な学習の進め方について以下の取組を行った。
@ 生徒が家庭学習で困っていることの調査する。以下はBにおける学級活動の指導例である。
A @の調査結果をもとに、学習方法について各教科担当からのアドバイスを作成する。
B アドバイスをもとに、学級担任が学級活動において学習計画づくりに関する指導を行う。
C 中間テスト後に生徒アンケートを実施し取組についての検証を行う。
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1 本時のねらい テスト前の具体的な学習計画を作成することをとおして、家庭における学習の計画づくりや進め方に対する理解を深める。 2 主な学習活動と予想される生徒の反応 ○今までのテスト前の勉強で困ったことを話し合う。 ○テスト勉強の計画を作ったり、進めたりするために大切なことを話し合う。 ○テスト勉強の計画を作る。(資料:各教科担当からのアドバイス) ○教師の話を聞く。 |
テスト後に行った生徒アンケートから次のことがわかった。
○問1より、学年が上がるにつれて、テスト前の勉強方法について困っている教科がある割合が多い。
○問2より、1年生の81%がそう思う、どちらかというとそう思うと答えており、初めて受けるテストの勉強に参考になった様子が伺える。
○問3より、1、3年生では80%程度の生徒がそう思う、どちらかというとそう思うと答えており、自分なりに工夫し学習を進めることができた生徒多い。2年生では62%の生徒が参考になったと回答している。
○問4より、1年生では80%、2、3年生では70%程度の生徒が自分なりに時間をかけて勉強したと答えている。またこの中間テストとその後の期末テストにおける学習時間は下の表のとおりであり、ある程度学習に取り組んでいる状況が伺える。
テスト期間中の1日あたりの平均学習時間(分)
| 1年 | 2年 | 3年 | |
| 1学期中間 | 117 | 159 | 153 |
| 1学期期末 | 145 | 185 | 167 |
また、以下は生徒の感想である。
・ワークをするのに、最初からワークに書くのでなく、ノートに何回も練習してから最後にワークに答えを書いた。そうしたらその問題の応用問題ができるようになった。(生徒A)
・先生に紹介された方法をノート方式でやってみました。わかりやすいやり方です。そこで、わからないところは先生に質問しました。効果ありでした。(生徒B)
アンケートや生徒の感想から具体的な学習方法を指導することで、生徒がある程度学習に向かうことがわかった。自分なりの学習方法を見つけ実践することにより、学習の意欲が高まり達成感を持てたり、積極的な学習態度に発展したりしたことが伺える。
(1)実践
生徒の学習習慣づくりを進めるために、家庭との連携を緊密にすることは重要なことである。そのためには、まずは学校の取組を保護者に十分理解してもらうことが大切である。本校では平成18年より夢通信(資料5−1、2参照)を発行している。夢通信では、「確かな学力」についてのとらえや、その育成をめざして取組や生徒の変容等を紹介することで、家庭で話題にしてもらい、さらに学校教育や家庭生活のあり方等についても関心を深めてもらいたいと願っている。
(2)考察
以下は、「夢通信」に関する平成18年度19年度のアンケートの一部であり、肯定的回答をした割合を示している。
| 質 問 内 容 | H18 | H19 | |
| 1 | 学校の取り組みを知ることができた。 | 47% | 89% |
| 2 | 子どもと話をするきっかけになった。 | 38% | 47% |
問1については、大きく改善されている。普段の参観授業や懇談会等で伝えきれない部分を少なからず伝えることができ、学校に対する理解を深めてもらうよい機会となった。
また、参観授業においては保護者に授業の様子を伝えるための工夫として、以下のような授業の概略を示した資料を配布している。
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単元名:欲求への対処 ねらい 主な学習活動 指導上の工夫 |
問2については、やや増加しており、学校や生徒に関する話題を提供することで、親子の会話が進むことが伺える。親子での会話が十分できにくいといわれる現代、親から子どもに話しかけるきっかけとなったり、保護者が子育てや教育について考える機会になったりしたと思える。
様々な方法で保護者に学校の取組を紹介したり、「学力向上」に係る座談会をとおして意見交換をしたりなど、工夫を図ってきた。しかし、学校の取組が十分評価されているとは言えない状況である。今後も生徒の学ぶ意欲を高め、学校や家庭における学習習慣を育成するとともに、保護者への情報提供と啓発活動を的確に行う必要がある。